受講者の声 音読レシテーションスピーチ指導・英語コミュニケーション教育・近江誠

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Opinions

柴原智幸様 神田外語大学専任講師 同時通訳者

  • 習ったことを実地に生かし、教師としてさらに前進して行きたいと思います!
  • 柴原智幸様
    神田外語大学専任講師。同時通訳者。
  • 上智大学外国語学部英語学科卒。
    イギリス・バース大学の通訳翻訳コース修士課程修了後、ロンドンのBBCに入社。
    帰国後はNHKの放送通訳や「ディスカバリーチャンネル」などでの吹き替え用映像翻訳、通訳養成学校での指導を行う。
    アルクの通信講座「1000時間ヒアリングマラソン」のコーチも務める。

近江アカデミーのレッスンには、これまで主婦からサラリーマン、学生、塾教師、中高教師から、大学教員まで、いろいろな人が申し込んでこられました。その都度寄せられたコメントの中から、今回は埼玉県からはるばる来られた、 柴原智幸氏のブログ記事を抜粋して掲載させていただきます。

柴原智幸氏は、NHKのラジオ講座、「攻略!英語リスニング」の講師です。
英国BBCに入社し、エリザベス女王在位五十周年記念式典で同時通訳をされた方で、現在NHKの放送通訳者、大学講師として大活躍されている方です。まさに言語というものには上限がないということでしょう。

しかし受験時代の癖なのか現実はTOEIC何点上がったの、下がったの、点数を挙げることが力をつけること (しかも短期で!) であると錯覚している人が多い…。
氏の悩みは、私自身のそれでもありました。

柴原氏は仕事がら通訳(Interpretation)の訓練を生かした言語教育を実践してこられてますが、近江アカデミーの骨子となっている訓練は、古代ギリシャ・ローマの流れを汲むスピーチ・演劇学のオーラルインタープリテーション(Oral Interpretation)です。

柴原氏が中華料理ならば、敢ていえば近江はギリシャ料理。
氏のラジオテキストの素材を使って生徒となっていただき、こういう味になる!と体験していただきました。
異なる料理法が出会えば美味しくならざるをえない! それにしても謙虚な中に熱き心を秘めている方とはこういう人なのだと、しみじみと感じさせる土曜日の午後でした。 

以下、柴原氏の目にはレッスンはどう映ったことか

柴原智幸氏のブログより抜粋しております。全文をご覧になられる方は柴原智幸氏のブログ記事を御覧ください。

「近江アカデミー」のレッスンに参加してきました!

南山短期大学名誉教授の近江誠先生が主宰していらっしゃる、「近江アカデミー」のレッスンに参加してきました。神田外語学院で教えていた当時、近江先生の「感動する英語」をテキストに使ったことがあり、英文を徹底的に理解・吸収した後に「モード転換」をして、新たな文脈で自分の話したい内容を語って行くという方法論に、深い感銘を受けました。
その頃から「いつかお会いしていろいろお話を伺ってみたい」と思っていたのですが、数年越しの夢がかないまして、実際のレッスンに参加した次第です。
参加してみて思ったのは、私の「近江メソッド」の認識が、まだまだ表面的なものにとどまっていたということです。レッスンが始まってすぐにモード転換の前段階の音読(という用語を使っていいのかどうか分かりませんが)練習が始まりました。生徒の皆さんが、一人一人英文を音読して行きます。

「語り手に成り代わって声を出す」「活字として表れているテキストだけではなく、
subtext(笑わせてやろう、何かの弁明を行なおう、など)が何かを考える」というアドバイス

近江先生は、「語り手に成り代わって声を出す」「活字として表れているテキストだけではなく、subtext(笑わせてやろう、何かの弁明を行なおう、など)が何かを考える」というアドバイスもなさっていました。
私は通訳学校で「表面的な言葉だけではなく、『何のために行なう通訳なのか』を考えましょう。
あくまで取引関係を維持しつつ問題点を是正したいのか、関係の破棄も辞さずに問題点解決を迫るのか、といったことです」と言ったことがありますが、それとも重なる部分があります。

「What are you trying to accomplish by saying what you're saying?ですよ。この点をきちんと意識してから暗記しないと、語り手にのり移れません」
という近江先生の言葉に、おっしゃる通りだなあと膝を打ちながら耳を傾けます。
……が、傍観者でいられたのはここまで。

先生がおっしゃいます、「今の音読ですが、聞き手は誰ですか?」

何と近江先生が私のラジオ講座のテキストを使って、その先のレッスンを進めて下さいました。光栄ではありますが、ええカッコしいの私としては、「ボロを出さないようにしなければ!」と一気に緊張してしまいます。

テキストの英文は何度も目にしてはいますが、番組内の英文の朗読はネイティブのナレーター(クリスさんとキャロリンさん)にお願いしており、私が英文を音読した回数は、それほど多くありません。

「では、最初から読んでください」

という近江先生の指示を受け、1段落ほど読み終わりました。読み間違わないように、発音を正確に、などと緊張しながら読み終わったところ、先生がおっしゃいます。
「今の音読ですが、聞き手は誰ですか?」

しまった!


普段あれだけ学生たちに「通訳はキャッチボール。ボールの受け手を意識しないキャッチボールはないでしょう。常に自分の言葉を誰に向けて放っているのか、ちゃんと受け取ってもらえているのか、注意を払いなさい」などと偉そうに言っていたくせに、完全に聞き手への意識が飛んでいました。修行が足りませんねえ。

自分の問題点を指摘されるのが、何だかワクワクする気分でしたね

さらに、「地球の人口ってどのぐらいだと思う?○○億?○○億?実は○○億人なんだよ!」と話す部分があるのですが、私がbillionを強調して読んでいたところ、

「billionは既出情報ですから、強調するべきはその前の数字ですね」

とご指摘いただき、これも考えてみればその通りなのですが、まだまだ意識しないと出来ていません。

そして、「地球はこれ以上の人口は支えきれない」という部分で、more peopleという部分があったのですが、ここもpeopleを強調して読んでいたところ、

「『今、話しているのは、犬猫のことじゃないよ、人間!人間について話しているんだからね!』

というならば、そういう読み方になりますが、この場合は『これ以上は』という部分が伝えたいわけですからmoreを強く読みます」 とアドバイスをいただきました。

上手く説明できない感覚なのですが、自分の問題点を指摘されるのが、何だかワクワクする気分でしたね。「おお、なるほど!自分では気づけなかったけれど、そこに気を付ければさらに前進できるぞ!」という感じ、といったら良いでしょうか。

その後に全員の前に出て、「難聴の方々と、英語が苦手でmillionとbillionが怪しい方々が聴衆にいる、という設定で読んでみてください」という課題をいただきました。これも難しかったですが、あれこれ考えながら読むのは、本当に楽しかったですねえ。

それは裏返して考えれば、
「普段自分がやっていた音読が、いかに何も考えていない、無味乾燥なものだったのか」、ということでもあります。

意図的に「力を抜いてセリフを語る」事をthrow away(「言い捨てる」という感じでしょうか)と言うのだそうです。

また、「なぜそこを強めて読むのか」というのは、裏返せばそれ以外の部分をいかにサラリと読んで行くのかということにもなるわけですが、近江先生によれば、演劇ではそのように決めゼリフ以外の部分で意図的に「力を抜いてセリフを語る」事をthrow away(「言い捨てる」という感じでしょうか)と言うのだそうです。

確かに、すべての言葉を強調してしまったら、教科書のすべての行にアンダーラインを引くようなもので、かえって内容が取りにくくなります。

その後に先生の「感動する英語」のお話から、モード転換の話題になったのですが、私が考えていたものより、はるかに深いコンセプトでした。

私は単に、「元の英文の骨格を利用しつつ、表現を一部差し替えて表現のバリエーションを広げる」ぐらいにとらえていたのですが、近江先生が考えていらっしゃるのは、以下のようなことです。

素材に内在する

「語り手」「聞き手」「時」「場所」「目的」「内容」「様式(展開や身体性)」

を理解したように音読することで、ますます理解を深め、その理解の上にたってさらに音読、朗読表現をしていくことで、様々な表現や、雄弁のからくりが線として身体に刷り込まれている所を狙っています。

そしてさらにモード転換訓練という上の七つのポイントを動かしてみることによって、入力をさらに確かなものにすることができます。


つまり、一つの英文を深く理解し、自分の中に取りこんだあとで、
1 話し手を変えてみる
2 聞き手を変えてみる
3 時代を変えてみる
4 場所を変えてみる
5 目的を変えてみる
6 内容を変えてみる(料理番組の語りの枠組みを使って、英語教育を語る、など)
7 様式を変えてみる

ということを行なっていくという、非常に壮大な広がりを持ったものだったのです。骨太の、日本人が本来行なうべき学習だと思います。こういう勉強をしていたら、TOEICなど資格試験の点数も、「ついでに」上がることは間違いありません。

レッスン終了後も、近江先生と生徒の皆さんと一緒にコーヒーをごちそうになり、そのあと厚かましくも夕食までごちそうになってしまいました。
近江先生、近江アカデミーの皆様、大変勉強になり、また教師としての熱意に再点火していただいた1日でした。本当にありがとうございます。

習ったことを実地に生かし、教師としてさらに前進して行きたいと思います。可能な限り、またレッスンにお邪魔出来ればと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。